損益計算書とは?
損益計算書 (P/L) は、一定期間における企業の経営成績を示す財務諸表です。ある期間にどれだけ稼ぎ(収益)、 どれだけのコスト(費用)がかかったかを整理し、最終的に企業がどれだけ利益を生み出せたか(または損失を出したか)を明らかにします。
先に学んだ貸借対照表 (B/S) が「会社がどのように資金を調達し、どのような資産を保有しているか」 を表すのに対し、損益計算書 (P/L) は「会社がビジネスを通じて、どれだけ稼いでいるか」を表している点に特徴があります。
家計で例えると?
損益計算書は、家計簿をつけるのと似ています。毎月の収入(給与)から、様々な支出を差し引いて、最終的にいくら貯金できたか(または赤字になったか)を計算する流れは、まさに損益計算書と同じ考え方です。
🏠 個人の場合で例えると?
- 収入(売上高に相当):給与、副収入、投資収益など
- 必要経費(売上原価に相当):通勤費、仕事着代、資格取得費用など
- 生活費(販管費に相当):家賃、光熱費、食費、日用品費など
- その他収支(営業外損益に相当):預金利息、ローン利息など
- 臨時的な収支(特別損益に相当):退職金、災害による支出など
- 貯金できる金額(当期純利益に相当):全ての収支を差し引いた後の実質的な貯金額
最終的に貯金できる金額がいくらかはもちろん重要ですが、それがどのような要因で決まっているのか理解することで より正しくその人の状況を理解することができるようになりますね。例えば
- 今月貯金できる金額が増えてはいるけど、お仕事で稼いでいるのではなく、 持っている株を売却して収入を得ただけかもしれない
- 今月貯金できる金額は減っていたけど、災害の被害を受けて支出が大きく増えたからかもしれない
損益計算書の構成
損益計算書は、「収益」「費用」を積み上げ・差し引きしながら段階的に利益を計算していく方式をとります。こうした方式を多段階損益計算と呼びます。 以下で、多段階損益計算のイメージを示します。
多段階損益計算のイメージ
損益計算書の主要項目
1. 売上高
企業が事業活動によって得た収益の総額が「売上高」です。例えば、商品を販売したり、 サービスを提供して顧客から受け取る金額が該当します。
2. 売上原価
売上高を得るために直接的にかかった費用が「売上原価」です。製造業であれば材料費や工場の人件費、 小売業であれば商品の仕入れ代が当たります。 売上高から売上原価を差し引いたものが「売上総利益(粗利)」で、最初の段階利益と言えます。
3. 販売費及び一般管理費
売上原価以外の事業運営に必要な費用が「販管費 (販売費及び一般管理費)」です。 広告宣伝費、事務所の維持費、役員報酬、通信費など 「会社を動かすために必要な支出」がここに含まれます。 製品の生産そのものに関わっていない人件費についてもここに含まれます。
4. 各種利益(段階利益)
ここでは、損益計算書の中で特に重要な段階利益を解説します。段階利益は企業のビジネス活動をさまざまな切り口で分析する上で非常に役立ちます。
- 営業利益
売上総利益から販管費を差し引いた利益です。「本業の活動による儲け」を把握する指標であり、 企業のコアビジネスがどれほど収益性が高いかを示します。 - 経常利益
営業利益に、営業外収益(受取利息・配当金など)と 営業外費用(支払利息など)を加減したものです。本業以外の金融収支や投資収益も含めた、 企業の総合的な稼ぐ力を示す指標です。 - 税引前当期純利益
経常利益に特別損益(固定資産売却益や災害損失など、 臨時的に発生する損益)を加減したものです。まだ税金を引く前ですが、企業の最終的な利益に近い数字と言えます。 - 当期純利益
税引前当期純利益から法人税等を差し引いた、企業に最終的に残る利益です。ここがプラスなら「儲け」が、 マイナスなら「赤字」が確定する、 重要な指標になります。
まとめ
損益計算書 (P/L) は、一定期間に企業が「いくら稼ぎ、いくら費用をかけて、その結果どれだけ利益を出したか」を示す非常に大切な財務諸表です。貸借対照表 (B/S) と併せて見ることで、企業の健康状態と稼ぐ力を立体的に把握できるようになるので、 投資や経営判断などにも大きく活用されます。